『現代の日本画 その冒険者たち−横山操から会田誠へ』展
神内有理 

『現代の日本画 その冒険者たち−横山操から会田誠へ』展
二〇〇三年八月九日(土)〜九月一五日(月・祝)
岡崎市美術博物館

圧倒的にすばらしい作品群が並ぶ。企画者による鮮やかな「日本画」をめぐる問題の現状分析、説得力のある企画意図には敬服する。見事な「日本画」の展覧会だった。
この展覧会は、作品を過去におけるその都度の変革の試みのサンプルとして提示することで、その継承と断絶を歴史的に明らかにする。そして、そのような歴史的認識を踏まえた上で、現地点での「日本画」の可能性を提示することが意図されている。
優れた作品(例えば、諏訪直樹≪無限連鎖する絵画PART3)、浅見貴子≪出現−精−)戦略的な会田誠≪雪月花≫など)が発するそれぞれの「日本画」への批判が言語化されることで、「日本画」をめぐる時代時代の問題が具体的になる。そして、実作への批評を基盤としている故に、これからの「日本画」への提唱が可能となっている。「意識的・戦略的であれ」との提案の是非はともかく、この展覧会の意義は大きい。
しかし、そのような優れた成果を踏まえて、以下のことを附言したい。この展観でも明らかであったが、近年の「日本画」論では、公募展を中心に活動する作家のあり方と、非常に意識的且つ戦略的に「日本画」に関わるあり方の二極化を最早自明ないし当為のこととして、後者中心に議論の糸口を探っている。しかし、ステレオタイプ化されて語られる「公募展」派と、今語られるべきだとされている「現代」派との、いわば「間の存在」を言挙げすることの必要性があるはずである。今後、そこに焦点を当ててゆきたいと思う。