ノグチ・ルームの移転をめぐって
鬼頭早季子 
(筑波大学大学院修士課程)

7月に慶応大学にある「ノグチ・ルーム」の移転に反対する署名運動が回ってきた。
私はそれまで知らなかったのだが、建物の一般公開も終え、雑誌などのメディアによ
っても取り上げられ、関心が持たれている建築の在り方であるようだ。しかしここ
で気になったのは、「ノグチ」の名が特化していることである。なぜならば「ノグ
チ・ルーム」は第二研究室棟(萬來舎)の一部であり、谷口吉郎との共同作業によっ
てできたものであったからだ。またその現状保存を求めた裁判は、イサム・ノグチ財
団らが起こしたもので、谷口よりも、また萬來舎を創設した福沢諭吉の名よりも大き
く「ノグチ」の名をクローズアップにする。そこで「ノグチ」を前面に出すことによ
って得られるものは何か。残された建物は誰のものか。誰が何を歴史として残すの
か。そのような問題が、建築とともに、ただ解体されるのではなく、ますます議論さ
れることだろう。

詳しくは以下のHPを参照。
www.keio.ac.jp/news/030314.html
news.braina.com/2003/0716/judge_20030716_001____.html