公募展批判は自明だろうか。公募展的な日本画が、概念的にも表現様式的にも現代の日本画として一つの絵画システムであることは事実だろう。必要なのは一面的な批判ではなく、このシステムの歴史的・社会的役割の検討やどこがどのように機能不全を起こしているのか、という現状への問いかけではないか。 この展覧会から指摘できるのは、中間色の多用、ダブル・イメージの画面構成、一見抽象的だが具象、オリエンタルな景色の抒情的表現という院展様式の自己充足的な硬直化である。「日本画とは何か」というメディアの固有性に向けての問いがないまま、何を描くかという主題や技法の問題に終始している。そのような中にあって田渕俊夫が≪爛漫≫で示したことは、繰り返しのなかで起こったクリエイションとして「日本画」の可能性を探る試みだと言える。
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