第30回・日本画 創画展
 2003年11月2日(日)-16日(日)
 京都市美術館
神内有理 
(本学大学院博士後期)

「時代の必然と日本画のもつ当然の史的課題」。
創画会の前身である創造美術の結成を、かつて新聞記者だった井上靖はこう伝えた。しかしながら、今や創画会においても日本画という絵画にミッションを抱いている作家は余りいない。このことは、現代の「日本画」が芸術というジャンルにおいて周辺の絵画であるこという事実を物語っている。
制作上の葛藤を心の問題に置き換えるスタイル、素材にのみ「日本画」選択の理由を負わせる乱暴な短絡。どうにも、煮崩れ感はぬぐえない。公募展には日本画の内的問題がごろごろころがっている。
そのような中、表面の微妙な差異を生かしつつ、沈んだ色調を基調としながらも煌くように美しい画面を作り出す奥村美佳<かなた、>、深く押し込めた葛藤そのもののような絵肌をもつ小島徳朗の表現世界、速さや軽さといった運動表現を探究する伴戸玲伊子<やわらかい泥>などが心にのこった。かれらの作品には、自らの立ち位置への自覚からくるある種の確かさがあった。