岡本太郎のユーモアに満ちた明快な著作のなかで論じられている、日本文化についての反省は、今日の芸術家の問題意識とも重なる古く新しい課題である。進歩と変化が叫ばれた時代に、縄文文化の再評価を果たした功績も大きい。 万博当時から毀誉褒貶半ばし、反権力的な示威行動の舞台ともなり、数々の逸話に彩られた「太陽の塔」を、30年後の今日また見つめ直してみる機会でもある。「すべての人が描かなければならない」と主張し、芸術は本来無償、無条件のものであるべきだと考えていた岡本は、モニュメントやパブリック・アートにその理想的なあり方を見い出していた。
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