「慈覚大師 円仁とその名宝」展
中野志保 

今回は、天台宗延暦寺の基礎を築いた慈覚大師円仁(794-864)の生涯とその活動を追った展覧会を紹介します。

「慈覚大師 円仁とその名宝」展

HP:http://www.shiga-kinbi.jp/exhibition/exhibition_now.html

於:滋賀県立近代美術館

期間:2007年 8月11日(土)〜9月24日(月・祝)

開館時間 :9:30〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:毎週月曜日 (ただし9月24日(月・休)は開館)

 円仁は、現在の栃木県に生まれ、比叡山に入って最澄の弟子となり、承和5年(838)には唐(中国)に渡りました。しかし、時の皇帝、武宗の弾圧によって一時は僧位を剥奪されるなど、様々な困難に遭います。そんな逆境がありつつも、円仁は、五台山や長安で勉学に励み、承和14年(847)に様々な教典や仏具、仏画をたずさえて帰国しました。その後、延暦寺に道場を建立し、天台宗の発展に大きく貢献します。貞観6年(864)に没した2年後、慈覚大師の号を贈られました。

さて、展示は四章構成となっており、円仁の生涯を追った第一章・第二章は、丁寧なキャプションとともに、円仁が唐から持ち帰った経典や、仏画を描く際の手本となるような白描の仏教図像集が展示され、唐から日本へ新しい仏教を取り入れようとした円仁の熱意がひしひしと伝わってきました。

第三章・第四章では、比叡山のふもと京都、および、円仁の出身地、北関東・東北の地に花開いた仏教美術の精華を一望することができます。平等院鳳凰堂の飛天(正式名称:木造雲中供養菩薩像)や、美しくも荘厳な紺地金泥の法華経(慈光寺経とも。埼玉県慈光寺)など、仏教美術の作品も、かなり見応えのあるものが揃っていました。

延暦寺、天台宗、そして円仁の生涯について、勉強したな〜という気持ちになる展覧会でした。

展示替えを含め、国宝22件・重要文化財65件が出品されており、滋賀県としては、最大規模の仏教美術の展覧会になるそうです。