1839年、写真術が発表されて160年余が経った。本書は、その間に登場したさまざまな技法や思想を多角的に説明するキーワード集である。挙げられた項目は125。それぞれの項目は、有機的にリンクしている。例えば「バウハウス」を調べると、「ニュー・ヴィジョン」や「ストレート写真」という運動と関係していることが判り、「建築写真」というジャンルとの関係、「フォトグラム」という技法との関連も出てくる。こうして写真の歴史に多角的に理解することができる。本書では、写真発明の最初期からデジタル画像処理に至る諸技法、風景写真やポートレート写真などのさまざまなジャンル、ピクトリアリズム、モダニズムからポストモダニズムへといたる写真制作理論、未来派やポップ・アートなどの美術との関わり、さらには、記号学などの批評理論と、写真のハードからソフトまで網羅している。写真史、写真批評に興味を持っている人には必携のナヴィゲーション・ツールである。
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