別記の考現学は、一九八〇年代、唐突に復活する。名を〈路上観察学〉と変えて。その中心人物であった赤瀬川原平による〈超芸術トマソン〉――上がって降りるだけの階段、すなわち〈純粋階段〉など、都市のあらゆるところに発見される無用の〈物件〉――は、都市が無意識的に作り上げてしまった〈芸術〉として路上観察の対象となった。それは、今和次郎の考現学と、デュシャンのダダをつきまぜ、読み替えたものともいえよう。その他、〈建築探偵〉藤森照信や、イラストライター南伸坊、マンホールを撮り続ける林丈二など、異才が集結し、路上観察学会が結成された。本書は、彼らのマニフェストである。上記と併せて読むことをお奨めする。
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