今回は“文庫・新書で読む日本仏教美術史”として以下4冊を紹介したい。まず、ハンディながらも優れた概説書としてとりあげたいのがこの本。 内容をみてみよう。本書の大部分をなす「仏像の歴史」では、飛鳥から江戸時代までのあゆみが豊富な図版とともに説かれる。つづく「仏像の周辺」は、仏像の誕生などについてのごく手短な概観。「仏像イコノグラフィー」では、着衣や姿勢、そして尊像ごとの特徴についての解説がなされる。「材質・技法から見た仏像」はイラストも用いてわかりやすい。最後に「光背と台座」についても、簡にして要を得た説明がなされている。 仏像の入門書は数多いが、歴史・図像・技法がまんべんなく押さえられ、しかも手頃な値段で購入できるものは意外に少ない。本書がロングセラーとなっているのもうなづけよう。その理由は、随所に光る女性ならではの語り口にもありそうである。
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