往々にして自分の好きなことについて勉強するのは苦痛ではない反面、関心の薄いところはなおざりになってしまうということが誰しもあるのではないでしょうか。とはいえ、全体像が分からないままに細部ばかり見ていると、時に近視眼的になってしまうという弊害もでてこないではありません。美術史を学ぶ場合も、まずは「通史」を学び、およその全体像を得てから個別のテーマに分け入っても、けっして遠回りにはなりません。
さて「通史」を学ぶ上でこれ一冊で万全というものではないですが、なるべく入手しやすいものというとして、
青柳正規、千足伸行監修『西洋美術館』(小学館、1999年) ISBN: 4096997056 税込\15750
を挙げることができます。
オールカラー約3000点の作品図版により、古代からコンテンポラリー・アートまでの西洋美術の歴史を辿ることができます。 図版が豊富なので、美術大全集がわりとしても使え、かつ近年の美術史学の成果を踏まえたトピックが盛り込まれているので、 読む資料としても充実しています。価格帯が高めと感じられるかもしれませんが、各章の間では「日本で見られる西洋美術」が紹介され、巻末にギリシャ神話事典、キリスト教主題解説、付録として西洋美術探索マップがついており、手元にあれば、役にたつ一冊でもあります。
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