テキスト科目の学習アドバイス 1:「芸術論I-2(デザイン理論)」

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日: 2017年5月25日

熊倉一紗(教員)
 みなさん、こんにちは。今回は、新要件の方は選択必修科目でもある「芸術論I-2」について、課題に取り組む際のポイントなどを説明したいと思います。
 「芸術論I-2」は、西洋および日本のデザインに慣れ親しむための入門的な科目です。私たちは日常、様々なデザインに囲まれて生活しています。例えば、街中でみるポスターや普段使用する家具や道具、ちょっとした時に読む雑誌の表紙や本の装幀、あるいはほんのりおめかしして出かける老舗百貨店の外装、車のデザインにファッションなど、本当に例を挙げたらきりがありません。この科目は、私たちの身の回りにあるデザインがどのような経緯で成立したのか、主に19世紀から現代にいたるまでのデザインの歴史的な流れを知り、近・現代デザインがどのような表現や造形によって構成されているのか、またどのような技術や要素が盛り込まれているのかについて理解することをめざすものです。

 具体的に、課題に取り組む際のポイントをあげますと、まず(1)西洋あるいは日本における「アール・ヌーヴォー」、「アール・デコ」、「バウハウス」、「1930年代~ 40年代のデザイン」、「1960年代~ 70年代のデザイン」の5つのうち、興味のある様式・時代を選択してください。純粋に好きなもの、関心のあるものを選ぶのがポイントです。例えば、シンプルかつ機能的な無印良品の製品が好きな人は、その源流ともいえる「バウハウス」を選んでみましょう。また北欧デザインに関心がある人は、1950年代が主流ですが「1960 ~70年代のデザイン」でもOKです。前回の東京オリンピックポスターに興味があれば、やはり「1960 ~ 70年代のデザイン」となるでしょう。次に(2)文献や図録などを手がかりに、選択した様式・時代におけるデザイン作品を1つ選んでください。プロダクト、グラフィック、ファッション、工芸などデザインであればなんでも可です。そして(3)装飾様式が展開していた時代状況などをふまえて、選択した作品がどのような社会的・経済的・政治的背景のもとに制作されたのかを述べてみてください。美術作品もそうですが、とりわけデザインは商業や実用性と密接に関わるため、背後の時代状況について考えることがその作品を深く理解することにつながります。そのうえで(4)選択した作品の色彩や形態、構図など造形上の特色を記述してください。(3)と(4)の記述の順番は入れ替わっても構いません。両方ともに過不足なく記述してみましょう。参考文献は、シラバス記載の通史に目を通した後、興味関心に応じたテーマの書籍や図録などを参照してみてください。デザインはなんだかとっつきにくい…と思われがちですが、本科目への取り組みをとおして、私たちが慣れ親しみ、日常なにげなく接しているモノたちへの理解を深めるきっかけにしていただきたいと思います。


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