私の仕事場について

カテゴリー: 愉快な知識への誘い美術館・展覧会情報 |投稿日: 2019年10月4日

三上美和(教員)

東京国立近代美術館工芸館の外観。

東京国立近代美術館工芸館の外観。


みなさんこんにちは、芸術学コースの三上です。猛暑も過ぎ、ようやく秋風の心地よい季節となりましたが、お変わりございませんか。今回お伝えする内容は、先日、本学のオフィシャルコミュニティで通信教育部の先生方が寄稿されている「ひみつのアトリエ」に寄稿したものです。この原稿を最初に書いたとき、都内は台風15号に見舞われたのですが、その被害は予想をはるかに超え、廃業に追い込まれた農家や畜産家もかなりおられるようです。改めて被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い平穏な日々の到来をお祈り申し上げます。

さて、この「ひみつのアトリエ」の原稿依頼を受け、改めてこれまで書かれた先生方の原稿を拝読したところ、それぞれ大切な制作の場について丁寧に書かれており、引き込まれて一気に読了しました。とはいえ私に特別なひみつはないのですが、私も先生方にならい、これまで勉強や仕事をしてきた場所について書いてみます。

今まで一番長い時間過ごしてきたのは、実家と自宅の仕事部屋です。ここでその時々に取り組んでいる
仕事に関する本や資料に囲まれつつ、パソコンに向き合っています。かつて図書館の自習スペースでも作業してみたのですが、支度に手間取る割に効率が上がらなかったので、結局自宅に落ち着きました。仕事部屋といっても、自宅では物置部屋を書斎に転用したこともあり、増え続ける本の収納にはいつも悩まされています。

今思えば、大学院の最終年次から客員研究員として4年間お世話になった東京国立近代美術館工芸館は、膨大な研究資料の間近で仕事ができる実に快適な場所でした。御存知の方も多いと思いますが、重要文化財に指定されている工芸館の建物(写真1枚目)は元々、明治43年(1910)に建てられた近衛師団司令部庁舎で、戦後、工芸を専門に扱う工芸館として再生されたものです。

事務所とスチール書棚で仕切られた研究スペースは、正面玄関を挟んでちょうど向かって左側です(冒頭に挙げた写真にもちょっとだけと写っています)。その突き当りには工芸関連の充実した資料室が、また徒歩数分にある本館にも近代美術関連の資料室があり、自由に調べ物ができる(しかも借りられる!)、研究に最適な場所でした。作品のすぐそばで仕事ができるのも嬉しいことでした。ここで得た様々な経験が今の活動の基礎になっていると思います。来年度、工芸館の金沢移転が決まったため、それ以降はこの研究スペースもなくなってしまいますが、私にとって大事な場所であることに変わりありません。

ところで、東京国立近代美術館本館と工芸館は、皇居前の北の丸公園内にあります。地下鉄の九段下から武道館の脇を通り工芸館に向かって歩くと、小川のあるちょっとした和風庭園に出ます(写真2、3枚目)。近衛兵たちが騎馬で闊歩したというこの道は、隣接するごく普通の広い公園(写真4枚目)から道路を挟んだだけですが、新緑や紅葉の美しい、とても静かな落ち着いた雰囲気です。九段下といえば千鳥ヶ淵の桜が有名ですが、知る人ぞ知る九段下ルートを通って、ぜひ一度訪れていただきたいと思います。移転まであと半年しかありませんが、私も時間の許す限り資料調査に通うつもりです。

小川に楓の葉が差し掛かるこの一角は、私の一番のお気に入りです。

小川に楓の葉が差し掛かるこの一角は、私の一番のお気に入りです。


木々に囲まれたこの小道を進み、少し小高い坂を登ると突き当りが工芸館です。

木々に囲まれたこの小道を進み、少し小高い坂を登ると突き当りが工芸館です。


和風庭園と道を挟んだ向かい側には広々とした公園があり、いつも子供や犬が遊んでいます。私が勤めている頃、夕方には「犬の放し飼いをしないように。」というアナウンスがよくかかっていました。

和風庭園と道を挟んだ向かい側には広々とした公園があり、いつも子供や犬が遊んでいます。私が勤めている頃、夕方には「犬の放し飼いをしないように。」というアナウンスがよくかかっていました。


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