奈良国立博物館では、主として日本の仏教に関する美術工芸品を展示。なら仏像館(本館)の名品展「珠玉の仏たち」では、飛鳥時代から鎌倉時代に至る仏像を中心に日本彫刻と中国の諸作品を幅広く紹介。西新館の名品展「珠玉の仏教美術」では、絵画・書跡・考古・工芸のジャンル別に展示。また随時特集展示なども開催されている。貴重な仏教美術が幅広く展示されており、仏教美術史を実地で学べる貴重な場所となっている。
同館は、日本で最初の博物館として明治5年に開館以来、美術の愛好者のみならず、研究者、制作者に大きな影響を与えてきた。特別展ももちろん充実しているが、特に常設展は、日本美術史を通史的に鑑賞でき、美術を学ぶ者にとって大変貴重な場所である。一度ならず、展示替えごとに足を運んでほしい。
明治から昭和まで長く活躍した日本画家鏑木清方終焉の地、鎌倉市雪ノ下に建てられた本館では、遺族から譲られた貴重な作品、資料を年数回展示する。こぢんまりとしたスペースを最大限活用した展示がなされている。訪れた際には、同館がここ数年刊行している清方関連の資料集もあわせて読んでほしい。清方研究の拠点としても貴重な場となっている。毎年開催される芸術学コーススクーリング「現地研修」(横浜、鎌倉)では、二日目か三日目に例年訪れている。
神奈川の歴史と文化を紹介する「総合展示」、所蔵作品展、特別展を開催する。建物は明治37年に建てられた横浜正金銀行で、国の重要文化財に指定されている。毎年開催される芸術学コーススクーリング「現地研修」(横浜、鎌倉)では、三日間の初日、三渓園に続いて訪れている。時折、所蔵作品である古文書や書画が展示、近代以降の横浜の展示にはジオラマも駆使され、立体的に神奈川全域について学ぶことができる。
横浜で活躍した生糸貿易商である原富太郎(号・三溪1868年-1939年)が築いた横浜本牧にある日本庭園。自宅のある内苑とそれ以外の外苑からなる。三溪は多くの貴重な古建築を移築し、明治39年(1906)年、外苑部分を一般に公開。明治末から大正初期、ここで三溪が支援していた今村紫紅、安田靫彦ら若手の芸術家たちを集め、古美術の名品を鑑賞させたことも特筆される。戦後遺族から横浜市に譲られ整備された。
東洋陶磁器専門の私設美術館。所蔵する日本、中国、朝鮮の陶磁器の優品がテーマごとに展示されている。陶磁器を扱う美術館には東博、出光美術館、根津美術館など他にもあるが、陶磁器のみを収集し、常に展観している点で貴重。東急Bunkamuraにも近い。渋谷に行ったら一度は足を伸ばしてほしい。
浮世絵専門の私設美術館。昭和初期から半世紀以上にわたり時代ごとの優品が収集され、テーマごとに展観されている。東博と並び、都内で常に浮世絵を見られる場として貴重。最新の研究成果を踏まえた特別展は話題になることも多く、ゆっくり展観できる和室展示も見所。
国立西洋美術館は、松方幸次郎(1865‐1950)が戦前にヨーロッパで購入した、印象派を中心とした松方コレクションを保存、公開するために設立された西洋美術専門美術館。特別展と同時に、設立以来購入されている、ルネサンスから近現代までの西洋美術作品と松方コレクションを常設展示。大規模な特別展を鑑賞する際には、常設展もぜひ時間を取ってじっくり見学してほしい。
工芸(陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工)、工業デザイン、グラフィック・デザインを収蔵する、国内最大級の総数約2840点(平成21年3月31日現在)を収蔵。近代から現代に至る工芸の様相を総合的に鑑賞できる貴重な場所。建物は旧近衛師団司令部として明治末に建設され、重要文化財となっている。
東京国立近代美術館は、明治末期の文部省美術展覧会(文展)出品作など、明治以降、現代までの重要な絵画を国内最大規模で所蔵する。特別展とは別に、年4、5回展示替のある常設展スペースでは、国内外の作品を常時200点を時代ごとに展示(HPで作品を確認できる)。