過去サイトの記事

…旧サイトで公開していた記事を再掲載しています。文献案内を中心として学習の大きな参考になりますので有効にご活用ください。

中野志保(本学講師)

『日本美術を学ぶ人のために』(中村興二・岸文和編、世界思想社、2001年、ISBN-10: 4790708586/ISBN-13: 978-4790708582)は、「はじめに」に語られるように、美術作品を取り巻く様々な「状況」を紹介するものです。周知の通り、日本の美術は、少なくとも明治時代に「美術」という概念/制度が出来るまで、なんらかの機能を持ち、人間の日常生活に供される「モノ」として存在することを期待されてきました。例えば、障壁画は室内装飾という機能を持ち、浮世絵は最新の情報を伝達する機能を持っていました。

中野志保(本学講師)

辻惟雄監修『カラー版 日本美術史』(美術出版社、初版:1991年、増補新装版:2003年、ISBN-10: 4568400651/ISBN-13: 978-4568400656)は、日本美術史を学ぼうとされる方は、最初に読まれる本なのではないでしょうか。かく言う私も、大学受験二次試験の対策に、まずこの本を読むことから勉強が始まりました。第一章の先史・古墳時代から、第十一章の現代まで、まず時代の流れを概説してから、作品の解説へと入っていく構成は、歴史の流れと美術をリンクさせるには、非常に役立ちます。

中野志保(本学講師)

今回紹介するのは、辻惟雄著『奇想の系譜――又兵衛-国芳――』(初版:美術出版社、1970年、新版:ぺりかん社、1988年、文庫版:筑摩書房、 2004年、ISBN-10: 4480088776/ISBN-13: 978-4480088772)です。著者、辻惟雄氏は、『カラー版日本美術史』の編者でもあり、『日本美術の歴史』(東京大学出版会、2005年)を著 したことでも有名な、言わずと知れた日本美術史研究の大家です。その研究姿勢は、一貫して「時代を超えた日本人の造形表現の大きな特徴」(文庫版、 p247)をとらえることにあります。

中野志保(本学講師)

今回紹介するのは、佐藤道信著『〈日本美術〉誕生――近代日本の「ことば」と戦略』(講談社選書メチエ、講談社、1996年、ISBN-10: 4062580926 /ISBN-13: 978-4062580922)です。

本書は、「日本美術」・「日本美術史」をめぐる概念と歴史体系が、どのように成り立っていったのかが考察するものです。もう少し簡単に言えば、私たちが研 究の対象とし、また、その枠組みとする「日本美術」とは、いったいどういうものなのか、ということを、それが生成された「近代」という時代に遡り、また、 少し離れた視点から捉えようという研究です。

中野志保(本学講師)

日本美術史を学び始める方への基本参考文献として、今回紹介したいのは、『フィクションとしての絵画――美術史の眼、建築史の眼』(千野香織・西和夫共 著、ぺりかん社、1991年、ISBN-10: 4831507954/ISBN-13: 978-4831507952)です。

本書がテーマとしているのは、タイトルにもあるように、絵画のフィクショナルな部分に、どのような絵師の作為――すなわち「伝えたいこと」――が見出せるのか、という問題です。

フィレンツェでの美術史修行

カテゴリー: 過去サイトの記事 |投稿日:2009年5月1日

水野千依(本学准教授)

盛夏の候、今年も夏の集中スクーリングが目白押しにはじまる季節となりました。皆様、いかがおすごしでしょうか。暑さも加わり、ただでさえ疲れやすい時期ですが、どうか体調を整えられて、夏を乗り切って下さい。

さて今回は、私がフィレンツェに留学していた頃の美術史の学習についてお話したいと思います。そもそもフィレンツェといえば芸術の都、どの通りを歩いてもさまざまな時代のモニュメントや造形物に溢れかえっており、街全体がいわば美術館のような都市です。日本で得られる作品の知識は、当時はインターネットもなく、今よりはるかに限定されており、まずこの膨大な数の造形物を前にただただ圧倒され、自分の知識の乏しさを思い知りました。とにかく秋にはじまる新学期までは、京都に比する盆地ならではの炎暑のなか、街中をくまなく歩き回ったことを思い出します。

中野志保(本学講師)

本展覧会は、江戸の役人でありながら、漢詩、狂歌、戯作までこなした当代きっての一大趣味人、大田南畝(おおたなんぽ・1749〜1823)を本格的に取 り上げた初めての展覧会です。江戸時代、特に中ごろから後半にかけての(地方としての)江戸文化を研究しようとするならば、必ずどこかの資料に顔を出すほ ど、はばひろく、また多くの狂歌を、本・摺物等さまざまな媒体に残した人です。

中野志保(本学講師)

国立新美術館で開催中の「日展 100年展」(http://nitten100.jp/)に行ってきました。

キャッチコピーのごとく、と言うと大げさな気がしますが、明治時代から誕生して、現代にいたる「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」の優品が揃っていて、大づかみではありますが、確かにここ100年の日本の「美術」史がたどれる展覧会だったように思います。

杉崎貴英(本学講師)

木下史青氏は、東京国立博物館で展示デザイナーとして活躍中の方。

【プロフィール】http://webarchives.tnm.jp/members/shisei/ 【インタビュー】http://www.tansei.net/casestudy/no16/tnm/main.htm 【東博の展示】http://www9.plala.or.jp/gentleman/inoken/05TYO/05tyo.htm 【大学の授業】http://www.pcs.co.jp/joshibi07/jsb_univ_syllbs15.pdf (pdfファイルです。34ページ目。「展示デザイン」で検索すると便利)

展覧会:永徳展&BIOMBO展

カテゴリー: 過去サイトの記事 |投稿日:2008年6月11日

中野志保(本学講師)

この秋、関西で開催された下記2つの展覧会の感想をお送りします。

狩野永徳展 会期:10月16日(火)〜11月18日(日)、京都国立博物館

NHK日曜日術館でも特集され、連日大勢の入場者を得ていたようですね。永徳をはじめ、同時代の江戸狩野・京狩野派絵師の作品が並んでいました。永徳と言えば、歴史の教科書に必ずと言っていい程出てくる《唐獅子図屏風》や、国宝《檜図屏風》、《上杉本洛中洛外図》が有名です。