米倉立子(芸術学コース教員)
本書は、「近代美術のゆくえ」という近代以降の日本美術史を扱うシリーズの一冊ですから、本来ならば私がここ研究室だよりで特に紹介するにはふさわしくないかもしれません。しかし、美術あるいは美術史という概念や、モノをコレクションする美術館の確立の過程などの多様な切り口から論じられていて、日本美術を学ぼうとする方のみならず、受講者の皆さんそれぞれの関心に何かしら応えてくれるのではと思います。今まで断片的に知っていたり、感じていたりしたことが相互に繋がって改めて腑に落ちる箇所が多々あり、そこから新たな知見や関心へと繋がる楽しみどころの多い一冊でしょう。