美術館・展覧会情報

…日頃の学習やスクーリングの前後の見学に役立ててください。なお、各常設展の詳細は各博物館・美術館のHPをご参照ください。また各施設の特別展に関するリアルタイムの情報については、「展覧会の情報を入手する」をご参照ください。

首都圏の美術館:神奈川県立歴史博物館

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 神奈川の歴史と文化を紹介する「総合展示」、所蔵作品展、特別展を開催する。建物は明治37年に建てられた横浜正金銀行で、国の重要文化財に指定されている。毎年開催される芸術学コーススクーリング「現地研修」(横浜、鎌倉)では、三日間の初日、三渓園に続いて訪れている。時折、所蔵作品である古文書や書画が展示、近代以降の横浜の展示にはジオラマも駆使され、立体的に神奈川全域について学ぶことができる。

 明治から昭和まで長く活躍した日本画家鏑木清方終焉の地、鎌倉市雪ノ下に建てられた本館では、遺族から譲られた貴重な作品、資料を年数回展示する。こぢんまりとしたスペースを最大限活用した展示がなされている。訪れた際には、同館がここ数年刊行している清方関連の資料集もあわせて読んでほしい。清方研究の拠点としても貴重な場となっている。毎年開催される芸術学コーススクーリング「現地研修」(横浜、鎌倉)では、二日目か三日目に例年訪れている。

首都圏の美術館:東京国立近代美術館

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 東京国立近代美術館は、明治末期の文部省美術展覧会(文展)出品作など、明治以降、現代までの重要な絵画を国内最大規模で所蔵する。特別展とは別に、年4、5回展示替のある常設展スペースでは、国内外の作品を常時200点を時代ごとに展示(HPで作品を確認できる)。

 工芸(陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工)、工業デザイン、グラフィック・デザインを収蔵する、国内最大級の総数約2840点(平成21年3月31日現在)を収蔵。近代から現代に至る工芸の様相を総合的に鑑賞できる貴重な場所。建物は旧近衛師団司令部として明治末に建設され、重要文化財となっている。

首都圏の美術館:国立西洋美術館

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 国立西洋美術館は、松方幸次郎(1865‐1950)が戦前にヨーロッパで購入した、印象派を中心とした松方コレクションを保存、公開するために設立された西洋美術専門美術館。特別展と同時に、設立以来購入されている、ルネサンスから近現代までの西洋美術作品と松方コレクションを常設展示。大規模な特別展を鑑賞する際には、常設展もぜひ時間を取ってじっくり見学してほしい。

 浮世絵専門の私設美術館。昭和初期から半世紀以上にわたり時代ごとの優品が収集され、テーマごとに展観されている。東博と並び、都内で常に浮世絵を見られる場として貴重。最新の研究成果を踏まえた特別展は話題になることも多く、ゆっくり展観できる和室展示も見所。

首都圏の美術館:戸栗美術館

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 東洋陶磁器専門の私設美術館。所蔵する日本、中国、朝鮮の陶磁器の優品がテーマごとに展示されている。陶磁器を扱う美術館には東博、出光美術館、根津美術館など他にもあるが、陶磁器のみを収集し、常に展観している点で貴重。東急Bunkamuraにも近い。渋谷に行ったら一度は足を伸ばしてほしい。

首都圏の美術館:三溪園

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 横浜で活躍した生糸貿易商である原富太郎(号・三溪1868年-1939年)が築いた横浜本牧にある日本庭園。自宅のある内苑とそれ以外の外苑からなる。三溪は多くの貴重な古建築を移築し、明治39年(1906)年、外苑部分を一般に公開。明治末から大正初期、ここで三溪が支援していた今村紫紅、安田靫彦ら若手の芸術家たちを集め、古美術の名品を鑑賞させたことも特筆される。戦後遺族から横浜市に譲られ整備された。

濱村繭衣子(芸術教養コース教員)

(…今回は、芸術教養学科の濱村繭衣子先生が、御専門の江戸絵画の展覧会を中心に御紹介くださいました。今春の江戸期の展覧会の充実ぶりに、改めて驚かされます。先生ならではのディープな内容をお楽しみください。)

みなさん、こんにちは。濱村です。 ゴールデンウィークに向けて展覧会巡りを計画している方もおられることでしょう。みなさんの中にはテキスト科目の「日本美術史」を勉強されている方もいらっしゃると思います。今回はなかでも最近話題になっている江戸時代の展覧会を中心にお届けしましょう。

三上美和(芸術学コース教員)

皆さんこんにちは、教員の三上です。行く先々で桜に迎えられる季節となりましたね。以下、最近見た展示を紹介します。

世田谷美術館のある砧公園の桜はまだつぼみで、満開は会期終了間際になりそうですが、同館で開催中の「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」(4月6日まで、岡山県立美術館で4月18日から5月25日まで巡回)では、近代を代表する洋画家岸田劉生を軸に、その父吟香、娘麗子の活動を資料と作品でたどるものです。吟香は日本初の新聞を横浜で創刊し、起業家として活躍する傍ら、同時代の美術家たちとも盛んに交流しており、吟香が激賞した高橋由一《甲冑頭》や、山本芳翠の代表作《裸婦》、小林清親の浮世絵も同展の見所の一つ。劉生についても代表的シリーズである《麗子像》の他、初期の水彩画から晩年の風景画まで展示。さらにこれまでほとんど知られてこなかった麗子について、幼少期から晩年までを作品と資の料で丁寧に紹介。麗子が美術学校入学の夢を娘に託しつつ、明るい油彩画を生涯描き続けていたことなどを知ることができる貴重な機会となりました。