加藤志織(教員) 2019年4月15日の夕方(日本時間では16日の未明)、パリの中心にあるノートルダム大聖堂で火災が発生した。この建物がゴシック様式であることを象徴する尖塔は無残にも崩落、身廊を覆う天井の大部分、堂内に設置された貴重な文化財も焼失もしくは大きな損傷を受けた。その原因は現在も特定されてはいないが、皮肉なことに改修工事中に発生した何らかの人為的ミスあるいはトラブルだとみなされている。ユネスコの世界遺産としても有名な聖堂が真っ赤な炎に包まれる衝撃的な映像は瞬時に世界中へとライブ中継あるいは配信され多くの人びとを驚かせると同時に悲しませた。
梅原賢一郎(教員) 5月1日をもって元号がかわり、10月22日には新天皇の「即位の礼」が、11月14日には「大嘗祭」がとりおこなわれることになっている。皇位の継承を国の内外に示す、国事行為(内閣の助言と承認を必要とする)である「即位の礼」とはちがって、皇室の行事とされる「大嘗祭」は、衆目にさらされることはなく、秘事とされ、行事の真相はなお謎につつまれている。そして(それだからこそ)、おおくの研究者が、あるいは文献に基づいて、あるいはフィールドワークの見地から、抑制的に、ときには、想像たくましく、それぞれの「大嘗祭」論を発表していることはよくしられている。とりわけ、践祚の年の前後には、「論」があまた出版されるであろう。平成天皇のときもそうであった。 いろいろな「論」を読んで、思うところがある。
金子 典正(教員) 皆さん、こんにちは。金子です。あっという間に6月となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。今月が終われば一年の半分が終わってしまいます。本当に早いですね。さて、今年は年が明けてから新天皇の御即位を記念して全国各地の寺社仏閣で様々な特別公開が行われていますが、先月の今年の奈良国立博物館の正倉院展の発表にあわせて、東京でも正倉院宝物をみることができる「御即位記念特別展 正倉院の世界 皇室がまもり伝えた美」が東京国立博物館で10月14日(月)~11月24日(日)に開催されることが報道されました。奈良国立博物館と東京国立博物館で正倉院宝物を同時に展示するのは初めてのことで、さらに今回の御即位を記念して、いずれも超有名な宝物が久しぶりにお披露目されます。
三上美和(教員)
みなさん、こんにちは。お変わりございませんか。芸術学コースの三上です。寒さの厳しかった2月も終わり、梅がほころび、心地よい風にも春を感じる季節を迎えました。
いきなり私事で恐縮ですが、半年ほど前、足腰に不調を感じて整形外科にかかったところ、あっさり病名がつき「腰痛持ち」になりました。今のところ運動療法と生活改善が有効であり、荷物が1キロ増えるごとに股関節には5倍(つまり5キロ)の負担になると言われ、いつも背負っていた重いリュックを点検。財布などの最低限のものに絞り、それでもなんとなく重量感のあるリュックを乗せるキャリー・バッグを探し、一見すると出張のようなスタイルで外出することになりました。
爆心地・長崎の彫刻–被爆聖人像、平和祈念像、母子像
長崎市の爆心地一帯に現存する彫刻群からもうひとつの日本近代彫刻史を捉えようとすること、これが本講義のテーマです。長崎は江戸時代に西洋彫刻の石膏像が輸入された場所であり、戦後には平和公園に《平和祈念像》などの大型彫刻が複数置かれるなど、彫刻と深い関わりを持っています。私はこれまで、戦後日本の彫刻にとって長崎はもっとも重要な場所と位置づけられるのではないか、長崎の彫刻群には人間にとって彫刻とは何かという問いの手がかりがあるのではないかと考え、作品制作と調査研究に取り組んできました。本講義では、そういった少し大きな問いについても、皆さんとともに考える機会になればと思っています。現在、長崎市松山町の爆心地一帯は平和公園となっています。長崎の平和のシンボルでもある北村西望作《平和祈念像》はここに1955年に設置されました。《平和祈念像》のまわりには世界各国から贈られた平和の像が並びます。そして1997年には、北村西望の助手でもあった富永直樹作《母子像》が設置されました。いっぽう、平和公園からほど近い浦上天主堂には、原爆の炸裂によって頭部を失った立像と、反対に首だけになったたくさんの聖人像が保存されています。このような異なる来歴を持つ彫刻であふれた爆心地・長崎は、いったい何を示しているのでしょうか。1980年代後半から90年代にかけて構想されるも実現することはなかった「平和公園再整備計画」や、90年代後半から2000年代前半まで続いた「母子像裁判」などの、これまで十分に光が当たることがなかった資料と併せて検討します。
北村西望《平和祈念像》(1955年) [撮影:小田原のどか]
講師:小田原のどか 演題:「爆心地・長崎の彫刻–被爆聖人像、平和祈念像、母子像」について 日時:2019年2月2日(土)14:00~16:00 会場:京都造形芸術大学 東京外苑キャンパス 教室は当日の掲示にてご確認ください。
※事前申込不要。参加無料。芸術学コース以外の方・一般の方どなたでもご参加いただけます。
比企貴之(教員) 京都駅から市営バスに乗り、10分足らずでバス停・博物館三十三間堂前に着く。そこでバスを降車すると京都国立博物館、道路を挟んで反対側には蓮華王院三十三間堂がみえる。蓮華王院は、今日、国宝建築として名高く、本学の学生のうちにも「行ったのは一度や二度ではない」という人も少なくなかろう。