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…「Lo Gai Saber|愉快な知識」は、京都芸術大学芸術学部通信教育部の「芸術学コース研究室」 が運営しています。芸術学について学ぶ学生の皆さんに向け、学習に役立つ様々な情報を発信しています。

ベルエポックと戦後日本のポスター展

カテゴリー: 愉快な知識への誘い |投稿日:2014年12月28日

熊倉一紗(芸術学コース教員)

 今年は秋から冬にかけて京都で2つのポスターの展覧会がありました。1つは京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて開催の「サントリーポスターコレクションに見るベルエポックのポスター」(2014年12月26日まで)で、もう1つは、太秦に移転したdddギャラリーにて開催の「THE NIPPON POSTERS」(2014年12月20日まで)です。今回は、地域や時代が異なるこの2つのポスターの展覧会の特徴などを紹介したいと思います。

熊倉一紗(教員)

 2014年もあっという間に終わりを迎えようとしている中、皆さんレポート課題や研究論文に頑張って取り組んでおられることでしょう。今回の拈華微笑は、美術に関するレポートや論文を書く機会の多い皆さんにある書籍のご紹介をしたいと思います。シルヴァン・バーネット『美術を書く:美術について語るための文章読本』(竹内順一監訳、東京美術、2014年)です。

小林留美(芸術学コース教員)

 2001年に始まった現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」も、今年で第5回。申し訳ないことに、過去全てを見ているような忠実な観客ではないのですが、今回、何年かぶりに行ってきました。アーティスティック・ディレクターが美術家の森村泰昌、というのに心をそそられた、というのが本当のところです。

金子典正(芸術学コース教員)

 仏教美術といえば、まずは仏教発祥の地であるインド各地の遺跡や、あるいは仏教が東漸して敦煌莫高窟などの石窟が数多く造営された中国の仏教美術が広く知られていますが、実はスリランカの各地には世界遺産に登録されている様々な時代の寺院や遺跡、数多くの仏像が伝えられています。今回はスリランカの仏教美術についてご紹介します。

拈華微笑2014(4):考えつづけること

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2014年9月1日

金子典正(芸術学コース教員)

 お元気ですか?まだまだきびしい残暑が続きますが、体調にはくれぐれも気をつけて何とかこの夏を乗りこえて欲しいと思います。さて、今回の私の拈華微笑は、昨年の同時期に掲載した文章をほぼそのまま引用します。これはスクーリング以外でなかなか皆さんとお会いできない私からのメッセージです。ぜひご一読ください。

聖像を見る/観る

カテゴリー: 愉快な知識への誘い |投稿日:2014年7月20日

水野千依(芸術学コース教授)

 春まだ浅い季節に久しぶりに海外調査に出かけた。そのなかで、ルネサンス期に国際的な規模で巡礼を集めたフィレンツェのある聖堂に立ち寄る機会があった。そこには、数々の奇跡を起こしたことで名高い聖母像が存在する。十五世紀には人々の信心を高めるために聖像の展覧が制限され、以後、壮麗な壁龕のなかに隠されてきた。代わってこの聖母の図像を下敷きにした複製が数々の聖堂の壁や板絵に描かれ、さらに、信者たちが納めた奉納用の蠟細工や等身大人形が所狭しと積み上げられ、不可視の領域に身を潜めた聖母像の力や威厳を顕在化させていたことが知られている。

三上美和(芸術学コース教員)

皆さんこんにちは。なかなか時間を作れず更新が遅くなってしまいました。でもなんとか滑り込みで最近見た展覧会をいくつか紹介します。内容は全く違いますが、いずれも意義深いものでした。

 

一つめは、府中市美術館の「東京・ソウル・台北・長春ー官展にみるーそれぞれの近代美術」。この展覧会の一番の意義は、開催に至ったこと、これに尽きると言っても過言ではありません。というのも、日本で最初の政府主催の展覧会、文展(文部省美術展覧会)に関しては、これまでも紹介されてきました。しかし本展のように、日本統治下の台湾、朝鮮、そして日本の強い影響下に置かれた満州でも開催されていた官立の展覧会と一緒に展観されたことはありませんでした。東アジアの近代美術という大きな視点で美術史を捉える新しい試みであり、日本、台湾や韓国の学芸員による共同企画という点も大変意義深いものです。

私としては、初めて知る画家、彫刻家が多く、充実した作品と出会うことができたのも収穫でした。詳細な図録も、今後の同様の展覧会の基礎となることでしょう。本展は府中市美術館を経て、現在は兵庫県立美術館に巡回しています(7月21日まで)。

拈華微笑2014(3):長崎で考えたこと

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2014年6月28日

三上美和(芸術学コース教員)

 連休中初めて訪れた長崎では、復元された出島を楽しみにしていました。大学時代(相当昔ですね)、日本美術史の先生から、出島の復元が決まったことをうかがい、それ以来、よく知られている川原慶賀の出島の絵を立体にしたらどんなだろうと想像を膨らませていました。

 そして当日、路面電車に揺られて数分して着いた出島は、思ったよりずっと規模の小さなものでした。現在、十棟の建物が当時の工法通りに復元されているのですが、中に入ってみると、ガランとした空間に当時の様子の写真や、発掘現場から出てきた生活用具等が展示されていたのも、勉強になる反面、やや興ざめな印象でした。

拈華微笑2014(2):アルプスの祠たち

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2014年5月26日

水野千依(芸術学コース教員)

 この文章が届くころには新年度も始まり、瑞々しい新緑の季節になっていることでしょう。みなさんは、心新たに今年度の履修計画を立てていらっしゃる時期でしょうか。

 もっとも、研究というのは計画通りにはいかないもの。そのもどかしさは誰しも経験されていることでしょう。私自身もこの数年、調査の機会を逃してきましたが、ようやく去る三月、まだ木々が芽吹きはじめ、寒暖を繰り返しながら春の訪れを待っていた時期に実現することができました。

その他の地域の美術館:大原美術館

カテゴリー: 美術館・展覧会情報 |投稿日:2014年5月24日

 日本で最初の西洋美術専門の美術館として昭和5年開館。倉敷紡績社長である大原孫三郎が信頼し、支援した洋画家児島虎次郎が現地で収集したコレクションを出発とする。戦前唯一の西洋美術館として大きな役割を果たした。現在は工芸、現代美術まで幅広く収集、展観している。倉敷を訪れたらぜひ見学してほしい。久しぶりに同館HPを覗くと「まだまだすごいぞ大原美術館!」という劇画調の画面で驚く。老舗にもかかわらず地道かつ過激に攻め続ける姿勢はすばらしい。