小林留美(教員) そこに何が描かれているのか、はきとした言葉にはしにくい作品というものがあります。いわゆる具象ではない抽象画だから、というわけではおそらくありません。2011年に亡くなり、昨夏、原美術館で日本初の大きな個展が開かれた現代アメリカの作家、サイ・トゥオンブリーの絵画やドローイングは、そういった類の最たるものであるような気がします。そしてこの夏、DIC川村記念美術館で、初めて、彼の写真をまとまって見る機会がありました。
小林留美(教員) 今、日本で流通しているヴィジュアルイメージの中で、漫画の占める割合がどれくらいになるのか見当もつきません。どなたでも、大好きな漫画・思い出に残る漫画を複数挙げることができるでしょう。このような場で 「漫画? 」と言われそうですが、少しお話を。
小林留美(芸術学コース教員)
2001年に始まった現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」も、今年で第5回。申し訳ないことに、過去全てを見ているような忠実な観客ではないのですが、今回、何年かぶりに行ってきました。アーティスティック・ディレクターが美術家の森村泰昌、というのに心をそそられた、というのが本当のところです。
小林留美(芸術学コース教員)
“辞書によると、「美学」とは美の本質や構造を解明する学問である”。 “辞書によると、「イメージ」は、心の中に思い浮かべる像、心象、姿、形象、とある”。 学部共通専門教育科目「美学概論」で提出されるレポートを読んでいると、その最初の方でこのような一節を目にすることがよくあります。
小林留美(芸術学コース教員)
今回紹介したい『美学への招待』は、日本の美学会(1950年創設)会長を務め、“美学のプロフェッショナル”である佐々木健一によって、“これまで美学を学んだことのないひとを、この学問へと導く手引き”として書かれたものです。18 世紀半ばの西洋において、美と芸術と感性とを主題とする哲学として提起された、美学Aestheticsという学問の成立の状況を前提として第一章にまとめ、その後の7 つの章で、センス、ミュージアム、コピー、身体、等々をトピックにして、現代の芸術(実はこの言葉については、“藝術”と“アート”という2 つの用語を意識的に分けて使用していますが)を巡る様々なシーンを“日常的に抱く素朴な思想や疑問を手がかりに”解きほぐし、さらに最終章で近未来に向けての課題を描写するという構成を取っています。
小林留美(芸術学コース教員)
『シュルレアリスムのアメリカ』というタイトルから、まず、どのような芸術家や作品を、またどのようなトピックスを連想するか、それはこの欄を読まれている皆さんの美術史的知識と関心とによって様々でしょうが、いずれにせよ、簡潔にして魅力的なタイトルには違いありません。そして、「つまるところ、本書はブルトンとグリーンバーグの言説を両軸として構成されるシュルレアリスム美術論であるといっていい」という序の一文が、端的に本書の主旨とその刺激的な論考とを示唆しているでしょう。