文献案内:山藤章二『似顔絵』岩波新書、2000年

カテゴリー: 過去サイトの記事 |投稿日: 2003年12月19日

佐藤守弘(本学講師)

 山藤章二『似顔絵』は、現代随一の似顔絵師の著者が語る〈似顔絵論〉。似顔絵とは、単に対象に肖似した絵ではなく、批判の手段である──すなわち、実物そっくりのものではなく、制作者にとって対象がどのように見えるかを写すものである。〈批判〉という表出的な機能を持っているものだと著者は語るのである。もちろんいわゆるアカデミックな著作ではないが、古今のさまざまな肖像画やカリカチュア(戯画)を考える上で、本書は一つの出発点になるのではないかと思われる。

*記事初出:『季報芸術学』No.15(2001年12月発行)


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