文献案内:ディック・ヘブディッジ『サブカルチャー──スタイルの意味するもの』未来社、1986年
佐藤守弘(本学講師)
イギリスの若者文化には、モッズ、スキンヘッズ、パンクスなど、さまざまな〈トライブ〉が存在した。それらの多くは、特定の音楽を聴き、特定の決まり事を持ち、非常に細かく決められた服装の規則を遵守していた。記号論、ヘゲモニー論などの方法論をもって、本書においてはそれらのスタイルの意味や機能が、精密に分析される。それは、階級やエスニシティと分かち難く関わった記号であった。イギリスにおけるカルチュラル・スタディーズの黎明期に書かれた好著である(翻訳には問題が少々見受けられるが)
*記事初出:『季報芸術学』No.15(2001年12月発行)