文献案内:ジョン・バージャー『イメージ Ways of Seeing──視覚とメディア』伊藤俊治訳、PARCO出版、1986年

カテゴリー: 過去サイトの記事 |投稿日: 2003年12月19日

佐藤守弘(本学講師)

「ものを見ることとはどういうことか?」本書はこのような疑問から出発する。『ものの見方』という原題を持つ本書は、4つの章──「複製技術」「女性ヌードとフェミニズム」「所有形式としての絵画」「広告」を扱ったもの──からなる。すなわち、私たちのものの見方とは、先験的なものでは全くなく、社会的に構築されたものである、ということをさまざまな事例を通して明らかにしていくのが、この書の目的である。言い換えると、本書は視覚性の構造を腑分けしてくれるのである。書かれたのは1972年。この書の発表から、ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズが始まったといっても過言ではないほど、はかりしれない影響力を持ったものである。

*記事初出:『季報芸術学』No.14(2001年11月発行)


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