佐藤 真理恵(教員)

イヴリン・ド・モーガン《トロイのヘレネー》(1898年)、ロンドン、ド・モーガン・センター蔵

【図1】イヴリン・ド・モーガン《トロイのヘレネー》(1898年)、ロンドン、ド・モーガン・センター蔵

 「世界三大美女」といえば、わが国に限っては、クレオパトラ、楊貴妃、小野小町が挙げられることが多い。しかし、より一般的には、小野小町の代わりにヘレネーという女性がランクインしているようだ。  ヘレネーとは、ギリシア神話に登場する、絶世の美女との呼び声高い人物である。それほど有名な麗人であれば、さぞ多くの芸術家が美の化身としての彼女の像を創造し讃美したかと思いきや、意外なことに、とくに美術の分野では、ヘレネー像の数は決して多くない。しかも、美術作品や詩、演劇、映画で描き出された彼女の容貌や人物像は、概ね共通した特徴をそなえており、ヘレネーのイメージは多分に均一化されているといえる。後述するが、ヘレネーには、金髪たなびく絶世の美女にして稀代の悪女、という固定観念が付きまとっているのである。

東洋哲学を自由に演奏する

カテゴリー: コースサイト記事 |投稿日:2018年10月20日

梅原 賢一郎(教員)  アラビア語、ペルシャ語、サンスクリット語、ギリシャ語など、あまたの言語に通じ、多くの著作をものにした、東洋哲学の巨星、井筒俊彦(1914−1993)は、ある著作で、つぎのように書いている。少々長いが読んでいただきたい。