小林留美(教員)  今、日本で流通しているヴィジュアルイメージの中で、漫画の占める割合がどれくらいになるのか見当もつきません。どなたでも、大好きな漫画・思い出に残る漫画を複数挙げることができるでしょう。このような場で 「漫画? 」と言われそうですが、少しお話を。

拈華微笑2015(5):考えつづけること

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2015年8月25日

金子典正(教員)

 お元気ですか? まだまだきびしい残暑が続きますね。体調にはくれぐれも気をつけてください。  さて、今回の私の拈華微笑は、毎年『雲母』9・10月合併号に掲載している「考え続けること」です。この記事はスクーリング以外でなかなか皆さんとお会いできない私からのメッセージです。

拈華微笑2015(4):「ニセモノ」再考

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2015年7月26日

田島恵美子(教員)

 「ニセモノ」と聞くと、なんとなく、劣ったもの、残念なものといったイメージをもってしまうのではないでしょうか。ひとつには、「素晴らしいホンモノ」に対する「劣ったニセモノ」という見方を無意識のうちに前提としていることがあるでしょう。確かに、その存在は「ホンモノ」との関係性において成り立ちますが、それは単なる二項対立的な捉え方だけでは説明できない複雑さを孕んでいます。

三上美和(教員)

 たまたま同時期に開催されていた、六本木の泉屋博古館分館の「小川千甕展」と東京国立近代美術館の「片岡球子展」を見た。どちらの展覧会も画家の作風を丁寧にたどり、最新の調査が反映された充実した内容だった。51_1507  「小川千甕展」は閉幕間際の駆け込みだったが、これまで知らなかった多彩な作品と出会うことができた(今年の秋には京都文化博物館に巡回)。

池野絢子(教員)

 三月、イタリアへの調査旅行で、北イタリアはロンバルディア州にある都市ヴァレーゼを訪問しました。ミラノから鈍行で約一時間、コモ湖の西側に位置する街です。ヴァレーゼといえば、エステ家の宮殿と庭園で有名ですが、今回の私の旅の目的は、街の中心部を見下ろす小高い丘の上にある一軒の瀟洒な邸宅、パンツァ荘でした。  その名を冠されたジュゼッペ・パンツァ・ディ・ビウモ(1923-2010)という人物をご存知の方は、ほとんどいないでしょう。彼は、イタリアでは有数の現代美術のコレクターであった人物で、とくにアメリカの抽象表現主義とミニマル・アートの膨大なコレクションを有していました。私は去年から、この人物に関心を持って調査を続けています。なぜか? というと、彼の現代美術に対するこだわりがとても独特だったから。パンツァは、作品の収集に情熱を傾けただけではなく、作品を「どこに、どのように置くのか」が重要な問題であると考えた、稀有なコレクターだったのです。その結果パンツァは、抽象的で幾何学的なアメリカの現代美術を、歴史あるヨーロッパ貴族の邸宅に展示することになります。

拈華微笑2015(1):言葉の曲芸

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2015年4月26日

言葉を転がし、言葉を鍛え、言葉を磨く

梅原賢一郎(教員)

 仏教書として難解とされている書物に、道元の『正法眼蔵』がある。読んで難しいばかりではない。編集のされ方によって75巻本や95巻本とされているが(ほんとうは100巻にしたかったのだともいわれている)、難解なうえに長大で、これを読みこなすに易しいといえば、だれからも不信の目を向けられるのがおちであろう。どうも、道元は、どこまでも厳格で禁欲的で、近寄りがたいというのがたいていのところである。

 しかし、テキストを読むかぎり、ユーモラスな一面が伝わってくる。道元は、曲芸師さながらに、言葉を転がし、自由自在に操る。そこに、天性の遊び心さえ嗅ぎつけることができる。まずは、マジシャンぶりをご覧あれ。

加藤志織(教員)

 2014年度の授業が間もなく終了します。日々の課題から開放され時間的にも精神的にも余裕がある時期です。そこで今回は本をお奨めしようと思います。あまりにも難しい内容の書籍は楽に読めませんし、堅苦しい内容でも気分転換につながりませんので今回は漫画を紹介します。  とは言え芸術にかんする知見が得られるように細野不二彦の『ギャラリーフェイク』(全32巻)を選びました。アニメ化もされたので、ご存知の方も多いことと思います。しかし1992年に第一話が週刊『ビッグコミックスピリッツ』誌上に発表され、2005年に長期連載が終了して以来、すでに十年近い時間が経過しているので、一度もこの漫画のタイトルを耳にしたことがない方もいらっしゃることでしょう。

熊倉一紗(教員)

 2014年もあっという間に終わりを迎えようとしている中、皆さんレポート課題や研究論文に頑張って取り組んでおられることでしょう。今回の拈華微笑は、美術に関するレポートや論文を書く機会の多い皆さんにある書籍のご紹介をしたいと思います。シルヴァン・バーネット『美術を書く:美術について語るための文章読本』(竹内順一監訳、東京美術、2014年)です。

小林留美(芸術学コース教員)

 2001年に始まった現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」も、今年で第5回。申し訳ないことに、過去全てを見ているような忠実な観客ではないのですが、今回、何年かぶりに行ってきました。アーティスティック・ディレクターが美術家の森村泰昌、というのに心をそそられた、というのが本当のところです。

拈華微笑2014(4):考えつづけること

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日:2014年9月1日

金子典正(芸術学コース教員)

 お元気ですか?まだまだきびしい残暑が続きますが、体調にはくれぐれも気をつけて何とかこの夏を乗りこえて欲しいと思います。さて、今回の私の拈華微笑は、昨年の同時期に掲載した文章をほぼそのまま引用します。これはスクーリング以外でなかなか皆さんとお会いできない私からのメッセージです。ぜひご一読ください。