拈華微笑2012(4):考えつづけること

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日: 2014年4月3日

金子典正(芸術学コース教員)

 そもそも研究というものは孤独な作業です。なので、ときどきやめたくなる、くじけてしまう、長く調べものを続けてもいっこうに答えが見つからない、いいことなんて何もない。もういい。もういやだ! そうなってくると、私はよくふて寝をします。
 しかし不思議なことに、本気で研究を止めようと思ったことは一度もありません。どんなに忙しくても、しんどくても、心のどこかで必ず何かを考えながら日々を過ごしています。そんな生活がすっかり長くなり、今では当たり前になりました。そのためか、自分の研究にちょっとでも刺激になることに出会うと、とても嬉しく、ワクワク楽しく感じます。あるいは優れた研究論文を読み終えたときなどは、よし頑張ろう! 自分も勉強しなきゃ ! そう思いながら気持ちを新たにする瞬間は何度味わってもいいものです。
 といっても、いいことばかりは続かないのは最初に述べたとおり。先行研究をかきあつめ、論点を絞り、その答えを必死に探し出す日々が続きます。しかし見つからない。もがきつづけます。そのため論点や方法論を変えることもよくあります。もっとヒドイときは、スパッと諦めてテーマを変えることもあります。ただし、一ヶ月後や二ヶ月後に論文の提出が控えているときは、さすがにこれだけはやりません。
 さてさて、ここまで読んで何かを感じてくれた方は、きっと12月6日(木)に卒業論文の提出を目指している人だと思います。夏の成果を踏まえた9月上旬の面接授業が目前に迫り、そして一ヶ月後に最後のレポート3の提出が待っています。順調に進んでいる人もいれば、未だ上手くまとまらない人、また不安に感じている人も多いと思います。
 ただ、私のこれまでの経験からすると、粘り強く考えつづけていると、アイディアが浮かび、止まっていた筆が進みはじめる瞬間は必ずやってきます。私はいまでもパソコンに向かって白紙の状態が2時間、3時間、あるいは3・4日続くこともあります。もっとひどいときはふて寝どころではなく、部屋を片付けたり、全く関係ない本を読み始めたり、現実逃避が始まります。しかし、いつも気にかけ、考えつづけていると、その瞬間は必ずやってきます。
 みなさん。これから提出日まで辛い日々が続くかも知れませんが、何とか乗り切って欲しい。この思いに尽きます。応援しています。どうか粘り強く考えつづけ、良い論文が仕上がることを心から願っています。

*記事初出:『雲母』2012年9・10月合併号


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