今月の一冊:芸術学関係雑誌について

カテゴリー: 『雲母』について |投稿日: 2011年8月20日

杉崎貴英(芸術学コース教員)

 この「今月の一冊」欄、通常は新刊を中心に単行本をとりあげるのですが、年度始めにあたり、今回は芸術学関係の雑誌をいくつか紹介することにしました。
まず『芸術新潮』(新潮社、毎月25 日発売)。国内から海外まで、古美術から現代アートまで全般を対象とする雑誌です。話題の展覧会にスポットを当てたり、最近のニュースにちなんだりする毎号の特集は、読みやすくもボリュームたっぷり。芸術系大学に学んでいるからには、少なくともこれだけは毎月チェックしましょう。
これに次いで多くの本屋さんで手にとれるのが『美術手帖』(愛称「BT」、美術出版社、毎月17 日発売)。現代美術に重点的ですが、ときに「茶の湯」や「琳派」なんて特集も。現代のアーチストも、日本の古美術にセンサーを研ぎ澄ましているのです。
 これらには展覧会情報も載っていますし、習慣的に読んでいれば、芸術をめぐる最近の話題や動向がおのずとつかめてきます。版元のウェブサイトにアクセスし、まずは「立ち読み」機能で紙面をのぞくのもよいでしょう。
さて、雑誌には一般向けだけではなく、専門向け学術雑誌というのもあります。卒業研究の段階では参照必須になりますから、本学の図書館などで早い段階から目で馴染んでおくとよいでしょう。『芸術学の手帖2010』を参考にしてみてください。
なお一般向けと専門向けの中間的なものとして、『美術フォーラム21』(醍醐書房)は不定期刊ですが、「越境する美術史学」「崩壊する?美術館」など、挑戦的な特集を毎号組んでいて読みごたえがあります。

*記事初出:『雲母』2010年5月号(2010年4月25日発行)


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