熊倉一紗(教員)
みなさんは、ふだん、レポートの準備や授業の予習・復習のため、もしくは小説などを読むため、本を手に取ることは多いと思います。その場合、たいてい「中身」を読むことに集中し、本そのもののデザインに注目することは、あまりないでしょう。しかし、1冊の本には、私たちの感覚を刺激する魅力がたくさん詰まっています。そのことをあらためて思い起こさせてくれたのが、京都dddギャラリーで開催の「平野甲賀と晶文社展」(会期:9月14日〜10月24日)でした。
京都dddギャラリーは、グラフィックデザインを中心に展覧会を企画・展示している数少ない施設(観覧料は無料!)で、大日本印刷株式会社(DNP)が運営しています。この京都dddギャラリーで先日まで開催していたのが「平野甲賀と晶文社展」でした。平野甲賀という名前は知らなくても、カッサンドルのポスターがあしらわれた沢木耕太郎『深夜特急』の装丁家といえばわかる、という方もいらっしゃるかもしれません。
熊倉一紗(教員) みなさん、こんにちは。今回は、新要件の方は選択必修科目でもある「芸術論I-2」について、課題に取り組む際のポイントなどを説明したいと思います。 「芸術論I-2」は、西洋および日本のデザインに慣れ親しむための入門的な科目です。私たちは日常、様々なデザインに囲まれて生活しています。例えば、街中でみるポスターや普段使用する家具や道具、ちょっとした時に読む雑誌の表紙や本の装幀、あるいはほんのりおめかしして出かける老舗百貨店の外装、車のデザインにファッションなど、本当に例を挙げたらきりがありません。この科目は、私たちの身の回りにあるデザインがどのような経緯で成立したのか、主に19世紀から現代にいたるまでのデザインの歴史的な流れを知り、近・現代デザインがどのような表現や造形によって構成されているのか、またどのような技術や要素が盛り込まれているのかについて理解することをめざすものです。
熊倉一紗(教員) 豊かな森や湖に囲まれ、ムーミンを生み出し、優れた社会保障制度を維持している国といえば……そう、フィンランドです。フィンランドは、デザインにおいても優れた作品の数々を生み出してきました。そんなフィンランド・デザインを代表する「マリメッコ」の日本初となる大規模な巡回展が現在、開催されています。
熊倉一紗(教員)
2015年9月1日、佐野研二郎氏デザインの東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが白紙撤回されました。7月27日にオリビエ・ドビ氏が、自身デザインのベルギー・リエージュ劇場のロゴとエンブレムとの類似を指摘して以来、まさに「炎上の1 ヶ月」でした。 問題の端緒である五輪エンブレムについては、佐野氏自身が盗用を否定し、専門家の間では「似ていない」とする意見が多かったようです。しかしながら、世論やネット上では「似ている」ことが非難の的となりました。大阪芸術大学教授・純丘曜彰氏は「似ている、などと、他国から物言いがついた時点で、このデザインはケガれている」と指弾しています(INSIGHT NOW! http://www.insightnow.jp/article/8591.2015年8月10日付記事)。では、なぜ似ていることは悪なのでしょうか。
熊倉一紗(芸術学コース教員)
今年は秋から冬にかけて京都で2つのポスターの展覧会がありました。1つは京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて開催の「サントリーポスターコレクションに見るベルエポックのポスター」(2014年12月26日まで)で、もう1つは、太秦に移転したdddギャラリーにて開催の「THE NIPPON POSTERS」(2014年12月20日まで)です。今回は、地域や時代が異なるこの2つのポスターの展覧会の特徴などを紹介したいと思います。
熊倉一紗(教員)
2014年もあっという間に終わりを迎えようとしている中、皆さんレポート課題や研究論文に頑張って取り組んでおられることでしょう。今回の拈華微笑は、美術に関するレポートや論文を書く機会の多い皆さんにある書籍のご紹介をしたいと思います。シルヴァン・バーネット『美術を書く:美術について語るための文章読本』(竹内順一監訳、東京美術、2014年)です。
熊倉一紗(芸術学コース教員)
今回の拈華微笑は、デザインにまつわる書籍の紹介をしたいと思います。今年の9月20日に大きな話題とともに発売されたiPhone 5cをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。5色からなる目にも鮮やかな色彩は、スマートフォンに興味がない方でもCMなどで見かけたことがあるのではないでしょうか。AppleのWebサイトでは次のようなコピーが訴えかけます。「この色は、あなたです。色は単なる色ではありません。それは、自分の感情を表すもの。考えを示すもの。こだわりを見せるもの。あなたの個性を伝えるもの。」5つの色はそのための色だというわけです。
熊倉一紗(芸術学コース教員)
早いもので、あとひと月もすれば年末。年末といえば、近年日本郵政の年賀状キャンペーンをしばし目にするが、その広告費は、民営化以前よりも格段に多いといわれている。確かに、前身の日本郵政公社は国営企業であり、民間企業のような派手な宣伝活動が行われてこなかったのも頷ける。しかしながら、今から辿ることおよそ80 年前の戦間期の英国では、国の省庁である逓信省(郵便事業と電信電話事業を管轄していた省庁)によって民間顔負けの宣伝活動が行われていた。